【画期的な治療薬とは・・・】

皆さん、こんにちは。熊木です。
先日、医療新聞を読んでいた時に気になる記事を見かけました。

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“異常行動とタミフルは関連なし”
との報告を厚生労働省が発表したという記事です。特に異常行動の報告が多かった、18歳未満の患者約1万人を対象に、飛び降りなど異常行動との関連を調べていた厚生労働省の研究班による発表です。
鳥インフルエンザなどの新型ウィルスの報告がなされる中、注目を集めるインフルエンザ治療薬ですが、発売以来、一部のDr.からは「画期的なインフルエンザの治療薬」という言葉も耳にした医薬品であったため、私個人としてはとても興味のある話題でした。

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もともと医薬品には疾患の治療に有効な「主作用」と、体に好ましくない害を与える「副作用」という両面を持ち合わせる性質がありますよね。残念ながら副作用が全く起こらないという薬は存在しないのが現状だと思います。言わば“諸刃の剣”のようなものではないでしょうか?また、その薬単体ではなく、飲み合わせによって起こりうる“相互作用”による副作用も忘れてはいけません。疾患の原因を見極め最適な治療薬を選択する医師や、処方された薬についての説明や他の薬との飲み合わせに問題がないかを確認する薬剤師など、それぞれのプロフェッショナルが副作用の発生を最小限に留めようと、日々新しい情報を取り入れているわけですから、私たちは処方された薬を正しく服用することが最も重要ですよね。

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話は変わりますが、1つの医薬品が市場に出回るまでには、どのくらいの時間がかかるかを皆さんはご存知でしょうか?
簡単にご紹介しますと・・・
【基礎研究】(2〜3年)薬となり得る新しい物質の発見や、候補となり得るもののスクリーニングなど。
【非臨床試験】(3〜5年)有効性や安全性を確認するため、薬物動態などの生物学的試験などを動物を使って確認。
【臨床試験】(3〜7年)非臨床試験で有効性や安全性が確認されたものを始めて人で確認する試験。フェーズ1〜3までの3段階あり、一般的にこれを“治験”と呼びます。
【承認申請】(1〜2年)これまでの試験で有効性や安全性が確認されていても承認を受けなければ製造・販売は出来ません。
【市販後調査】(6ヶ月〜1年)医薬品に関しては毒性を持つ側面もあるため、発売してからもその有効性や安全性を調査することが義務付けられています。治験では得られなかった日常診療下で実施されます。
【合計】1つの医薬品が市場に出回るまで、開発からは10年〜20年もの期間が必要とされています。費用にすると、その額200億〜300億円というから驚きです。

残念ながら今日の医学をもってしても、「原因不明の病」や「不治の病」が存在しております。
こうしている今現在も世界中の製薬会社は新薬の開発に注力していることは言うまでもありません。
難しいことかもしれませんが、世界中の人々が元気で健康に暮らせる日が来るといいですよね。

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