今月はうれしいご報告があります。念願のカルフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の看護学博士課程に合格しました!
受験したのは去年の12月で、待ちにまった結果でした。学校側から奨学金の話もあり、うれしい限りです。専攻は、引き続き看護管理で、医療安全、看護の質評価についての知識を深め、研究・教育を行えるようになることが目標です。
今回の便りでは、博士課程進学について書きたいと思います。
博士課程受験まで
UCSFの修士課程を終えたのが2005年。その年のうちに、アメリカでの正看護師 (RN)の資格をとり、UCSF大学病院の治験病棟で働き始めました。病棟では、絶えず学ぶことがあり、それなりに充実していましたが、次第に、修士課程で学んだ研究批評能力や論文作成能力、また統計学の知識をフルに活用したいとの気持ちが強まっていました。
UCSF大学病院に採用された時、ある看護管理者の配慮で、私は臨床看護師の仕事と共に、看護教育/研究部の研究助手として、二束のわらじを履くことになりました。これらの経験より、自らがリーダーシップをとっていくような研究やプロジェクトに関わりたいとの気持ちが強まりました。
今後のことを考えた際、以前からの希望であった医療・看護のコンサルタントとして業務改善を行う道も考えました。しかし、UCSFという研究重視の環境のせいか、医療・看護の世界で物事を動かすためには、まずエビデンスが必要!つまり研究が重要、と真に感じるようになっていました。また、看護学博士や博士課程在学中の学生との個人的な交流を通し、研究者であっても、「みな同じ人間!私でもできるかも」と思えるようになったため、博士課程受験を決心しました。
家族の反応
この決意に対し、母親は、変わっていく娘に驚きはしましたが、すぐに応援してくれました。父親は、娘が29歳でまた学校に戻ることに対し、結婚や子育てができるのか(私が希望していたからです。今でも諦めたわけではありません。)心配をし、客観的(つまり批判的)に私の意志をチャレンジしてくれました。一方、学問の面白みや苦しみを体験真っ最中の大学生の妹は、「お姉ちゃん、仙人みたい・・・」と一言。立派そうなことだけど、何をやろうとしているのか、分けが分からない・・・そんな印象を持ったのでしょう。確かに、自分自身、修士課程進学の事を思い出すと、院卒といえば、お偉い先生方しか頭に浮かばす、この私が大学院に進学してしまって、いいのかな?と思っていましたから。ましてや、博士の世界は、雲の上の存在でした。
研究の道に
数年前、修士課程進学を決める際、私は、看護や医療情勢に対する様々な疑問を明らかにし、自分なりの答えを見つけたい、また看護師は臨床以外でも活躍できるはずと思い、それらが活発に行われているアメリカを進学先に選びました。今回、博士課程進学決定の際は、科学的に質の高い研究を行え、また教育できる人になりたいとの強い思いがきっかけになりました。道のりは決して楽ではありませんが、思いと粘り強さがあれば、自分でもできる、と思うようになりました。初めてサンフランシスコに来た時も不安の塊でしたが、どうにかなったことですし。
また、離れて居ながらして、日本との関係を維持するためにも、研究はいい分野だと思いました。それに、同じ現象に興味があれば、専門を越えて、世界中の人交流できることは、すばらしいと思います。今年の5月に国際看護師協会の大会が横浜で行われますが、世界中の看護師が、看護の向上のために知識を分かち合い深めます。自分なりの貢献をしたいと思い、私は修士課程の際に取り組んだ「電子処方入力と誤薬の関係」について発表します。どのようなフィードバックがあるのか楽しみです。