引き続き、UCSF博士課程受験についてお伝えしたいと思います。看護博士課程受験
UCSFでの博士課程の受験で、最重要なのは博士課程の進学についての自分の思いを綴ったエッセーです。具体的には、研究内容、博士課程に自分を導いた専門職的、また個人的な経験、専門職的な目的、博士課程後の看護界への貢献について説明します。つまり、5ページまでに渡って、自分がなぜこの大学院にとって価値のある生徒かをエレガントに主張するのです。受験には、学校指定の試験はなく、他には、4通にも及ぶ推薦書(職場・学校から)、英語能力のテスト(TOEFL)と過去の成績が考慮されます。今までの教育、研究、リーダーシップ、専門職としての活動も重視されます。
私は、今回の博士課程の受験にあたってUCSFのみを受験しました。UCSFは、看護大学・大学院で全米で2位にランクされているだけあって(現在の国際看護師協会会長の南裕子先生もUCSFの博士課程出身です)、研究・教育の質は高いからです。また、修士の経験を通して、どの先生とどのような研究をしたいか、はっきり分かっていたからです。
博士課程は修士課程以上に、自分のアドバイザーとの関係が密であり、また長期間(5年間前後)に渡るので、アドバイザーが自分の専門分野の第一人者であり、人間的に尊敬できる人であることは、非常に重要なことです。私は、修士課程の際のアドバイザーとは満足のいく関係を築けなかったため、相談の結果、別の先生をアドバイザーに希望し、彼女が私を担当してくれることになりました!彼女は、看護師配置とアウトカムの関係の研究を長年行ってきた方です。事前に2回ほど面談を申し込み、博士課程における自分の希望・予定を話し、また彼女の専門やプロジェクトについて話を聞きました。そして、ドキドキしながら、自分のアドバイザーになってくれるかを聞くのです。どのように聞いたら自然か、考えをめぐらせ、まるで恋の告白するような気持ちでした。このように、事前に先生方と相談することは大切なことです。自分の熱意を伝える、自分の希望と実際の比較を行える、また自分のことを売り込むことができるからです。私は、博士課程進学に対して様々な意見ももらうために、色々な先生と会い、場合によっては、博士課程への進学を応援する旨を一筆書いてもらい、学校に提出してもらいました。地理的に、直接先生方と会うことが難しければ、メールや電話を活用することもできます。アメリカでは、比較的気軽に生徒が先生方と連絡を取ります。
職場
私の目標は、UCSFの看護博士課程を4年ほどで卒業することです。現職場も、私を応援してくれ、正社員であるためのぎりぎりの時間数(40時間/2週間)の勤務をしながら通学する予定です。授業は週3日間に凝縮されているため、このようなスケジュールも可能なのです。病院の正社員でいることにより、福利厚生の他に、学費が一部免除になります。
一緒に働くスタッフの中には、大学院に進学することを応援してくれる人もいれば、「看護師が大学院に進学して、何になるの?」と冷たい反応もあります。日本と同じように、臨床の場で院卒の人はほんの少数です。それでも、勤務体制が柔軟であることや、学費の一部免除などのシステムは、非常に心強いです。これからの数年は、研究と臨床を同時に行えることを、上手に利用して、病院・病棟で自分の専門性を生かした業務改善・質改善活動ができればと思っています。
抱負
博士課程では、研究・看護の領域における日本との関係を強化したいと思っています。日本での現状や様々な試みを、看護界に伝えたいと思ってます。日本では、各病院ごとに質向上活動(教育・研究)が行われる場合が多く、それには臨床スタッフの涙ながらの努力があります。このことは、評価に値するべきことですが、質向上活動は、誰かの犠牲の元に成り立つものではないと思います。特定のトレーニングを受け、能力のある者が専任で担うべきです。また、病院間の横の繋がりが希薄なため、他院との比較から、臨床家にとって意味のあるような、各病院(病棟)の得意分野や努力を要する分野が明らかになる機会が少ないです。このような現状を調査し、これからの方向性や可能性を私なりに考えていきたいと思っています。
更には、看護管理領域のトピックにおける日米比較研究を行いたいと思っています。具体的には、人員配置と看護アウトカム(転倒・褥創・身体拘束など)、電子カルテの導入と誤薬ミス、医療事故報告システムと医療ミス、これらの関係、特性、データの測定方法、評価方法などを追求したいと考えてます。
最後に
約5ヵ月後に再び始まる学生生活にわくわくしています。私は修士課程と博士課程進学の間に2年間の休憩をいれました。この時間があったからこそ、今、再び学べることに対して前向きな気持ちなのだと思います。本当に自分が進みたい道について考えてみることは、私にとって必要でした。また、金銭的に、また時間的に余裕がある生活(学生時代は貯金をやりくりの生活でした)を送れたことで、エネルギーの補給になりました。
このような気持ちが続くのはあと僅かでしょうが・・・膨大な課題にまもなく溺れるでしょうから・・・ でも、がんばります!