アメリカからの便り
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国際看護師協会(ICN)学術集会 (その2)
今回の国際看護師協会(ICN)学術集会のテーマは、「最前線の看護者たち:予期せぬ事態に立ちむかう "Nurses at the Forefront : Dealing with the unexpected"」でした。看護実践の現実を明らかにすること、予期せぬ事態に立ち向かう看護師の専門知識を認識することが目的でした。
私は、今回初めてポスター発表という形で参加しました。テーマは「電子処方入力導入による予期せぬ結果」で、文献レビューを発表しました。これは修士論文である「電子処方入力が及ぼす誤薬削減における影響」を基にしたものです。私は、これまでの、電子処方入力に関する文献が、ポジティブな面を強調していることに危惧を頂き、いくつかの研究においては、予期せぬネガティブな結果も報告されていることを紹介したかったのです。考えてみれば当然なことなのですが、新しいことが導入されれば、作業の流れが変わり、期待していた結果と伴に予期せぬことが出現することは、珍しくありません。そのことは、医療でも変わりありません。当然、予期しないことが起きないように手は尽くすのであっても、その可能性を完璧に排除することは不可能に近いのです。今回のポスターでは、PubMed 検索による2003年から2007年の英語文献のまとめで、電子処方入力システムを導入することによって、小児患者の死亡率の上昇、誤薬率の上昇、コンピューター上の注意喚起の無視、そして否定的な感情の出現などがアウトカムとして判明したことを発表しました。
参加者が5000人もの学会は大規模で、ポスター・セッションも例外ではありませんでした。毎日、100前後のポスターが入れ替わるので、できれば毎日ポスター会場に行きたいものなのですが、同時に、数箇所での公演やセミナーがあるので、ポスターはついつい最後になり、結局、自分がポスター・セッションに参加したのは、4日間で2時間ほどだったでした。
期待したほどにポスターを通して参加者と交流することはできませんでしたが、自分の作品を作り上げること、また自発的に参加したことは非常に有意義でした。
ICN学会は、来年は南アフリカで開催だそうです。学会の名目で、世界中を毎年旅することができれば、どんなに素敵だろう・・・その地域を知るだけでなく、また世界中の看護師達と交流できる。考えるだけでもワクワクします。 そのためには、まずICN貯金を始めなければ・・・
ICNのWeb Site:  www.icn.ch
日本看護協会のWeb Site:  www.nurse.or.jp

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プロフィール
喜吉 紘子 (看護師、保健師)
1977年10月生れ、10〜14歳までをアメリカで過ごす。
聖路加看護大学を卒業の後、およそ3年間虎の門病院に勤務。
カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)大学院にて修士号取得(看護管理学)。
現在、UCSF大学病院・治験病棟にて臨床看護師を務める傍ら、病院の看護研究/教育部の助手として も関わりを持つ。
今後の時代を睨み(株)メディカル・ コンシェルジュのアドバイザリー・ナースとしても活躍中である。

「アメリカからの便り」
開設にあたって・・・

この度『アメリカからの便り』を開設するにあたって、病棟勤務、看護研究、翻訳業務などにて多忙を極める喜吉紘子さんに快くご協力頂きましたことを感謝いたします。
医療・看護に携わる全国の医療従事者の皆様方に向けて、今後の参考と励ましになれば嬉しく思います。

※ このサイトは月1回のペースにて書き換えをいたします。
尚、喜吉紘子さんは2007年9月よりUCSFの博士課程に進学致しました。
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