アメリカからの便り
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医療ミス 小さな行き違い
小さな行き違い。
先日、コンサートのチケットのことで行き違いがありました。
実は今お休みをとってハワイ島にいます。行きの飛行機でウクレレのコンサートのことを知り、 日系の名前の演奏者であったこともあり、到着即にコンサートの予約をしました。
コンサートは、1回のみの開催で、金曜日7時に会場とのことだった。
チケットは当日受け取ることになる。
金曜日、余裕をもって6時半ごろに会場につくと、会場は静まりかえっている。あまり人気がないのか心配しながら、窓口に行きました。(実は演奏者は、Jake Shimabukuro。後で分かったのですが、日本では結構名前が知られているようです。皆さんはご存知ですか?)
名前と告げると「あなた達、昨日のコンサートの予約をしたでしょう!」。
背中が凍りつく。「えーっ、すっごく楽しみにしてたのに!見れないってこと?!」
担当者いわく、彼女は電話応対の際、金曜日は満席なため、木曜日の席が設けられ、木曜日7時の会しか空席がないことと告げたと言う。私達は一切そのような話を聞いてない。
聞いていたら、金曜日の予定をずらさなかったのに。。。
結局、責任者の方が金曜日の席をどうにか調整してくれ、Jake君のウクレレを堪能することができた(それにしても、感動的でした!!心に響きます。)
思い返してみれば、電話の会話の際、コンサートの日にちのことを話していなかったかも、と気付く。私達は金曜日と思いこみ、担当者は木曜日と思っていたのでしょう。。。
これが病院でのことだったら、医療ミスにつながったかも知れない。そんな思いが横切った。
医療ミスは、多くの場合、1人の責任ではなく、いくつかのリスク・ファクター(Latent error:潜在的エラー)が重なって起こる。コミュニケーションや職場の環境が問題のことが多い。私は職場の環境の改善に興味をもっているのだが(適切な物品や人がいない状況、複数のことを同時に行わなくてはならない状況、恐れや怯えを助長する環境、騒音など)、Jake君のコンサートもまさしくそう。
医療の場では、電話でのやり取りは必ず復唱することになっています。けれでも、このことは学校では学びません。職場の取り決めになっているところもあるでしょうが、暗黙の了解である所も多いでしょう。復唱がくだらないことに思えても、それが「当たり前」となっていれば、無数なミスが防げます。これは医療に限らずです。
これからは医療に限らず、重要事項は「復唱」しよう、そう心に誓った私でした。

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プロフィール
喜吉 紘子 (看護師、保健師)
1977年10月生れ、10〜14歳までをアメリカで過ごす。
聖路加看護大学を卒業の後、およそ3年間虎の門病院に勤務。
カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)大学院にて修士号取得(看護管理学)。
現在、UCSF大学病院・治験病棟にて臨床看護師を務める傍ら、病院の看護研究/教育部の助手として も関わりを持つ。
今後の時代を睨み(株)メディカル・ コンシェルジュのアドバイザリー・ナースとしても活躍中である。

「アメリカからの便り」
開設にあたって・・・

この度『アメリカからの便り』を開設するにあたって、病棟勤務、看護研究、翻訳業務などにて多忙を極める喜吉紘子さんに快くご協力頂きましたことを感謝いたします。
医療・看護に携わる全国の医療従事者の皆様方に向けて、今後の参考と励ましになれば嬉しく思います。

※ このサイトは月1回のペースにて書き換えをいたします。
尚、喜吉紘子さんは2007年9月よりUCSFの博士課程に進学致しました。
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