アメリカからの便り
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アメリカの医療改革:第2弾 子供の医療
SCHIP(State Children's Health Insurance Program)
あまり知られていないことですが、アメリカでは子供のための医療保険制度が10年以上前から存在しています。通称SCHIP (State Children's Health Insurance Program)です。SCHIPは、Medicaid(低所得者保険)制度を利用できない(Medicaid基準より所得があるが、個人保険が高価なため購入することができない)家族を対象としています。
今年の2月にオバマ大統領は、アメリカの医療改革の第一歩として、SCHIPの拡大を認めました。今回の改訂は、すでにSCHIPを利用している700万人の子供の医療保険を継続し、新たなる400万人の子供の保険適応を認め、そして全州で正規移民の子供にも同じ権利を与えること(今までは、州によっては正規移民であってもSCHIPに加入することができなかった)を盛り込んだ内容となりました。
カルフォルニア州への影響
国レベルでは、SCHIP拡大を約束しても、前代未聞の財政難に苦しんでいるカルフォルニア州では、SCHIPの将来が心配されていました。というのも、国の支援があっても、州財政で1/3の資金を提供しなくてはならないからです。結局、すでにSCHIP利用者である場合は継続して保険を利用できるが、加入希望者は「順番待ち」ということになりました。
順番待ちとは一体...? カルフォルニア州の文章を読むと、「州がSCHIPのための財源を確保するまで、最低2010年6月まで順番待ち」とあります。結局、利用者からすると新たにSCHIPに応募はできても、実際に保険を確保できる目処はないということになります。
苦しいですね、本当に。
次回には、明るい医療改革の話をしたいところです...

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プロフィール
喜吉 紘子 (看護師、保健師)
1977年10月生れ、10〜14歳までをアメリカで過ごす。
聖路加看護大学を卒業の後、およそ3年間虎の門病院に勤務。
カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)大学院にて修士号取得(看護管理学)。
現在、UCSF大学病院・治験病棟にて臨床看護師を務める傍ら、病院の看護研究/教育部の助手として も関わりを持つ。
今後の時代を睨み(株)メディカル・ コンシェルジュのアドバイザリー・ナースとしても活躍中である。

「アメリカからの便り」
開設にあたって・・・

この度『アメリカからの便り』を開設するにあたって、病棟勤務、看護研究、翻訳業務などにて多忙を極める喜吉紘子さんに快くご協力頂きましたことを感謝いたします。
医療・看護に携わる全国の医療従事者の皆様方に向けて、今後の参考と励ましになれば嬉しく思います。

※ このサイトは月1回のペースにて書き換えをいたします。
尚、喜吉紘子さんは2007年9月よりUCSFの博士課程に進学致しました。
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