アメリカからの便り
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看護博士課程の生活:その2。アンケート研究の実際
「晴れてデータ収集!」といっていたのが、去年の10月
今は「ああ、データ収集。。」。
苦労、感じとれます?
去年の10月頃は、やっとアンケート研究の許可が取れたので、勢い勇んで2日ごとにアンケート配布/回収にICUに行っていました。アメリカでは、日勤と夜勤ナースが別々なことが多いので、夜勤ナースをも研究に募るために、朝の6時や夜の10時にも顔を出しました。
どの病棟にも、アンケート用紙と回収箱は準備してあるので、別に顔を出さなくてもいいのですが、やはり回収率をあげるためには、研究に「人格」を持たせるのが大事だと思います。自分の 研究経験上、以下の3つの理由をもって研究に参加する人が多いように思えます。それらは、1)研究の意義に同意して、2)研究者を応援したいために、また3)自分へのメリットを求めて。このアンケート研究では、2)と3)が動機になるように、顔出しをしたのと、アンケート参加者全員に$5のコーヒー券を与えることにしました。多くの場合、「$5」と聞いて、アンケートに興味もってくれることが多いですが、アンケートと聞いただけで拒否されることもあります。気持ち的には、「ぶっつけ営業」です。
この「営業活動」を通じて、自分は人との出会いで力をもらうタイプだと改めて実感しました。アンケート研究の場合、配布方法は郵送など全く被験者と個人的な交流がないこともあります。その場合の回収率は10?20%。直接被験者と会う方法(今回のように)だと労力はかかりますが、私の回収率は平均して50%。もしこれが、病棟にアンケートを置くだけで「営業」をしなければ、$5のギフトがあっても30%程度の参加にとどまるだけでしょう。
人に任意で何かをしてもらうって本当に大変なことです。今回学んだことは、やる気があって、前向きで、アンケートなどにすぐに協力してくれるのは10?15%の人。残りの35?40%の人は、インセンティブやタイミングで、どうにか協力してもらえる人たちです。残りの50%は「医療の質向上」や研究など漠然としたものに興味をもたない人たちで、任意でアンケートなどに協力してもらうのは難しい人たちです。
さあ後2週間で博士論文の第一関門が待っています。
焦る気持ちをなだめながら、あともう少しスマイルで営業活動がんばります!
追加参加者を募るための手作りのポスター
追加参加者を募るための手作りのポスター
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プロフィール
喜吉 紘子 (看護師、保健師)
1977年10月生れ、10〜14歳までをアメリカで過ごす。
聖路加看護大学を卒業の後、およそ3年間虎の門病院に勤務。
カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)大学院にて修士号取得(看護管理学)。
現在、UCSF大学病院・治験病棟にて臨床看護師を務める傍ら、病院の看護研究/教育部の助手として も関わりを持つ。
(株)メディカル・ コンシェルジュのアドバイザリー・ナースとしても活躍中。

「アメリカからの便り」
開設にあたって・・・

この度『アメリカからの便り』を開設するにあたって、病棟勤務、看護研究、翻訳業務などにて多忙を極める喜吉紘子さんに快くご協力頂きましたことを感謝いたします。
医療・看護に携わる全国の医療従事者の皆様方に向けて、今後の参考と励ましになれば嬉しく思います。

※ このサイトは月1回のペースにて書き換えをいたします。
尚、喜吉紘子さんは2007年9月よりUCSFの博士課程に進学致しました。
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