アメリカからの便り
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患者さんが治療計画に参加するために:意思決定サービス
先日UCSFで意思決定サービスを提供するJeff Belkoraさんからお話を伺うことができました。
意思決定サービスとは、患者さんが治療計画について自らが意思決定し、参加することを支援するサービスです。全米でも何カ所か意思決定サービスを提供している病院やクリニックがあるようですが、UCSFのように医療系学部生卒業生を活用しているところは少ないようです。そして、ここでの意思決定サービスは癌患者さんが対象です。
今年のインターン達
今年のインターン達
インターンは、まず患者さんが意思決定に利用できる情報を提供するために綿密な研修を受けます。大きな役割は二つ、診察前に患者さんの質問を整理すること、そして診察時の情報をまとめあげることです。
簡単そうですが、実はそうではありません。
まず患者さんの質問を整理すること。患者さん自身、理解していること、不安なことがはっきり分かっていることは少ないので、電話越しのインターンとの会話から、患者さんの質問要項を明らかにしていきます。その際、誘導尋問してはなりませんし、またインターンは医療者でないので、患者さんの医療的質問に答えることもできません。
診察時の情報をまとめること。たいがい、診察時には非常に多くの情報が提供されます。それに加えて、新しい診断による気持ちの動揺などもあれば、話されたことの一部しか覚えていないことも少なくありません。それに、癌の治療は、癌の性状や進行、治療の副作用、また個人の価値観に応じて複数の選択肢があります。そして治療にも、放射線療法、化学療法、手術など複数な方法があり、複数の治療が混合して用いられることが一般的です。インターンは、患者さんに変わって、医師から話されたことを後で復習できるように記録します。
医療における患者さんの意思決定が今までになく重要視され、患者さん自身の医療への期待が高まる中、このような意思決定サービスは、文化的な違いがあっても、今後の日本の医療界においても貴重な役割を占めるようになると思います。
UCSFの意思決定サービス
http://www.decisionservices.ucsf.edu/
病院の瞑想室にあるステンドグラス。薄暗い照明と水は心地よく流れる音で、周りの喧噪が消えます。 病院の瞑想室にあるステンドグラス
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プロフィール
喜吉 紘子 (看護師、保健師)
1977年10月生れ、10〜14歳までをアメリカで過ごす。
聖路加看護大学を卒業の後、およそ3年間虎の門病院に勤務。
カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)大学院にて修士号取得(看護管理学)。
現在、UCSF大学病院・治験病棟にて臨床看護師を務める傍ら、病院の看護研究/教育部の助手として も関わりを持つ。
(株)メディカル・ コンシェルジュのアドバイザリー・ナースとしても活躍中。

「アメリカからの便り」
開設にあたって・・・

この度『アメリカからの便り』を開設するにあたって、病棟勤務、看護研究、翻訳業務などにて多忙を極める喜吉紘子さんに快くご協力頂きましたことを感謝いたします。
医療・看護に携わる全国の医療従事者の皆様方に向けて、今後の参考と励ましになれば嬉しく思います。

※ このサイトは月1回のペースにて書き換えをいたします。
尚、喜吉紘子さんは2007年9月よりUCSFの博士課程に進学致しました。
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