アメリカからの便り
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PhD取得!
6月6日、博士課程の論文審査に通りました!
(指導教員のブリーガン先生に紹介されているところです)
博士課程の論文審査に通りました
この審査では、私の博士研究が科学的水準高く、また倫理的に実施できたかが評価されます。まず1時間におよぶ公開講義で研究のおおまかな発表をします(この写真は公開講義の様子)。その後、4人の教授(看護学者、社会学者、疫学者、医師)に約170ページの論文を批評してもらいます。
私の博士論文のテーマは院内感染の一つである人工呼吸機関連肺炎でした。この肺炎は、集中治療室にいるような重症な患者さんに多く、致命率の高い感染症です。集中治療室では、高度で侵襲的な処置が頻繁に行われますが、それは常にリスクを伴います。そして、そのリスクの一つが院内感染症なのです。
感染予防のために、様々な臨床ガイドラインが存在しますが、それらはいまいち医療者に活用されていません。私の博士研究はガイドラインが看護師に活用されるための要因を探るために実施されました。
病院や病棟によってガイドラインの活用され方が異なるので、1つの病院でなく、8病院を研究の対象としました。10ヶ月間に及ぶアンケート収集の結果、576人の集中治療室の看護師がアンケートに応えてくれました。更に、看護師長(看護教育者)と感染管理部長ら合わせて15人が1時間のインタビューに応じてくれました。ありがたいことに、博士学生として米国政府などから研究助成金をもらうことができたので、研究参加者には$5?10の謝礼をする事ができました。
2007年に博士課程に進学するときは、何年間も同じテーマを追求することが気の遠くなることと思え、本当に卒業できるのか分かりませんでした。単純にマラソンを完走できればPhDもできるはずと決め、2009年にはホノルル・マラソンを完走しました。そして旅行を息抜き(&ご褒美に)にひたすら研究を進めていきました。そして、つい先月の公開講義で自分の研究を発表し、博士号の取得となるのは、なにか夢見心地でした。
まだ卒業の実感は湧きませんが、博士課程を通じて確かに研究の解釈、物事の見方、そして「自分ができること」の基準が変わりました。これからは、いかにして私が学んだことを還元していくかが課題です。少し休暇をとって、エネルギー補給してから活動していこうと考えています。
卒業式後、指導教員のブリーガン氏と
(卒業式後、指導教員のブリーガン氏と。のびのびと博士研究をさせてくれました。)
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プロフィール
喜吉 紘子 (看護師、保健師)
1977年10月生れ、10〜14歳までをアメリカで過ごす。
聖路加看護大学を卒業の後、およそ3年間虎の門病院に勤務。
カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)大学院にて修士号取得(看護管理学)。
現在、UCSF大学病院・治験病棟にて臨床看護師を務める傍ら、病院の看護研究/教育部の助手として も関わりを持つ。
(株)メディカル・ コンシェルジュのアドバイザリー・ナースとしても活躍中。

「アメリカからの便り」
開設にあたって・・・

この度『アメリカからの便り』を開設するにあたって、病棟勤務、看護研究、翻訳業務などにて多忙を極める喜吉紘子さんに快くご協力頂きましたことを感謝いたします。
医療・看護に携わる全国の医療従事者の皆様方に向けて、今後の参考と励ましになれば嬉しく思います。

※ このサイトは月1回のペースにて書き換えをいたします。
尚、喜吉紘子さんは2007年9月よりUCSFの博士課程に進学致しました。
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