【未定ちゃんの乱】

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皆様こんにちは、高松支社の宮本です。
7月です。暑かったり、台風が来たりといかにも夏らしくなってまいりました。

今年私は七夕のお願いを、前倒し制度を利用して先に叶える事できましたので、どんな経緯かお話しようと思います。


6月3日(土)夕方、外出先から自宅に帰ると、隣りに住む親類が駐車場で子猫が鳴いていると大騒ぎ。
目やにが出ていて、身体も衰弱している様子。
水飲むかな、ミルク飲むかな、試みますが、警戒して飲みません。
家族らしき猫集団が遠くにいたそうですが、私が帰宅するまでにどこかに行ってしまったとのこと。
まずはその家族らしきみんなに迎えに来てもらおうと試みますが、周辺を探しても見つかりません。
そうこうしているうちに子猫は自ら物陰に隠れて大声で鳴き、家族のお迎え待ち作戦に移りました。
とりあえずこれでカラスやトンビに攻撃されることはないだろうと思い、一旦我らも引き上げました。

4日(日)翌朝、窓を開けると「みゃーみゃー!」大声が聞こえます。
残念ながら家族は迎えに来なかったようです。
昨日入り込んだ物陰にいるのだろうと思って見に行くと、最初に見つけた駐車場のところまで自力で出てきていました。
「動物好きそうなこいつに何とかしてもらおう」作戦に変更したのでしょうか。
昨日より元気がありません。このまま外で様子を見るのも心配・・・
という事で、一旦保護。

段ボールを補強して作った簡易のおうちで過ごしてもらいます。
とにかく元気ならないとって事で動物病院へ。
先生に目薬や餌を出していただいて、やっと食べるようになりました。
一安心。

治療費の領収書には「宮本 未定 ちゃん」の名前。
ペットではないので、問診票には名前を書きませんでした。
よってここから君は「未定ちゃん」に決定!

未定に決定? 日本語が少しおかしいですね。

未定に暫定!

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帰宅すると、家の前にあの家族っぽい集団が!
これは戻れるチャンス、と思い、放しました。
しばらく離れて様子を見ていると、大人猫が面倒を見てくれるようになり、
これで無事解決!と我らは自宅に戻りました。

ところがです。

5日(月)出勤しようと私が家から出ると、未定ちゃんはうずくまっています・・・

ぞっとしました。

急いで駆け寄ると、「あ、おはよう」という感じで起きました。
でもやっぱり元気がなく、家族らしきみんなもいません。
合流はうまく行かなかったようです。
病気がちなので、一緒に生活する事は難しいと判断したのかもしれません。

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宮本家の現状では残念ながら猫を飼う事ができないので、急いで貰い手を探し始めました。

「犬なら飼ったことあるからわかるんやけどねー」

なかなか見つからないものですね。
幼少期から猫と一緒に育った私にとっては意外でした。

「えーーこんなに可愛いのになー、わからんもんかなー、
 すぐええ人見つけるけん待っとってね、
 お父さんは病院や介護施設で働ける人を見つけるっていう仕事をしよるけんね、
 プロやからね、その点は」
などと偉そうに話しかけたり。

いやいや、いかんいかん、私はお父さんじゃない!
数日の間に自分が親バカ化していっていることに焦ります。

苦手なSNSを駆使して、できるだけ多くの方に未定ちゃんの魅力をお伝えしようと、
毎晩仕事から帰っては写真撮影。動画撮影。

猫好きな同僚や登録スタッフの方にもたくさん相談に乗っていただきました。

食べる量も増えていき、行動範囲も広がり、油断していたら段ボールハウスから飛び出す始末。
なでてあげようと思ったら、じゃれて爪をたて、容赦なくがぶがぶ。
生傷が絶えません。
私の出勤前に逃亡して、タンスの裏のせまーい所から出て来なくなった時は、危うく通勤電車に遅れかけました。

手のかかるやつだ。

まあそれだけ元気になったということで、とっても幸せな時間でした。

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そんな日々も終わりを迎える事になります。
知人の知人のそのまた知人の方に、新しい家族として迎えていただく事になったのです。

協力してくださった皆様、気にかけてくださった皆様、心より御礼申し上げます。
新しい家族の皆さんがとても優しそうで、様々な準備をしてくださっていて安心しました。

何件も連絡をいただいた事、もちろん嬉しかったのですが、その言葉のどれもが「飼いたい」ではなく
「家族に迎えたい」だった事が、本当に嬉しいです。

縁あって20日間一緒に過ごしたので寂しくなりますが、この子は親兄弟と離れてもっと寂しい想いをしたと思うので、
こちらはそんな事を言えた立場ではありません。
何度か家族らしき猫たちを見つけましたが、うまく戻れず、もう家族は迎えに来ないと判断したのは僕です。
恨まれてもおかしくないのに、この子はたくさん甘えてくれました。判断が間違っていたらどうしようと、
里親が見つからなかったらどうしようと、不安になっているこちらをこの子が元気づけてくれているようでした。
きっとこの子は人間と一緒に生きてくれて、人間を元気にしてくれる子なのだろうと思います。

今回の事で色々調べましたが、事情があって里親を探している猫や犬はまだまだたくさんいるそうです。
何かきっかけがあれば気にかけてみてください。

「SNS苦手芸人」が企画されたら、リーダー席に座りたいぐらいの私ですが、
今回ばかりは人間が作り出したSNSの力にも助けられました。参りました。

今頃は段ボールの狭い世界を飛び出して、ばたばたと走り回っていることでしょう。

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とこんな事があったおかげでというか何と言うか、今年の七夕の願いは叶いました。



「未定ちゃんが新しい素敵な名前で呼んでもらえますように」



その後どんな名前がつけられたのかは聞いていません。
未定ちゃんの乱、として我が家の歴史年表に刻んでおきます。

「あの家の前で にゃーん て鳴いたら、いい人紹介してくれるらしいよ」
と野良猫業界で口コミになっていたら大変やね、

なんて家族と冗談言っておりました。


皆さんの七夕の願いが叶いますように。

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