【君を探し彷徨うマイソウル】

どうも笹村です。逃げ恥も終わってしまいましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。私は恋ダンスを歌って踊れるようになりました。

ところで皆さんお悩みはありますか。
私は美容師さんとの対話で長年悩んでいます。

美容師さんの「今日はどうされますか」に対して、どうやってオーダーしたらいいのか分からないのです。

以前は「髪の毛が伸びたので切って欲しいです」と答えていましたが、これはレストランで注文を聞かれて「お腹が空いたので食べ物が欲しい」と返しているのと同じで、来店している時点で「知っとるわ」です。語彙力としては裸の大将レベルどころか、「お、おにぎりが食べたいんだな」と固有名詞を出せている分、裸の大将にも負けている。ただの裸、です。

いったい、皆さんはどうやってオーダーをしているんでしょうか。

風の噂で雑誌の切り抜きを持って行く、という手法を聞いたことがあります。でもそれってハードル高すぎないですか。
私は紙切れ握りしめて「山崎ケント君みたいにして下さい」と言えるほど厚顔でもなく、よしんば勇気を出して言えたとしても「骨格から違う、転生しろ!!」「ケント君に謝れ!」という美容師の皆さんからの視線に耐えられなくなり、こんなこともあろうかと腹に巻いてきたダイナマイトに火をつけて自爆、イケメンへの転生にワンチャン賭けるもダンゴムシに生まれ変わり。ちびっこにツンツン、ツンツンとされちゃいそうです。ツンツンはダメ、ぜったい!

切り抜き持参までいかなくても、「前髪を…」とか具体的な注文をしようとしただけで内なる自分が「髪型ちょっと変えたくらいでモテたりすると思ってんの?その顔で?」と煽ってきて自意識が炎上、耳まで真っ赤になって口角から泡を吹いてしまうので、黙って美容師さんの問いかけにYESNOを繰り返すだけ人形と化すか、YESNOを言うのすらダルくなって「任せます」と言い残して爆睡。起きて鏡を見れば前髪が全滅して襟足がスーパー長いジャンボ尾崎スタイルに心の中で爆笑、帰宅して鏡を見直してちょっと泣きながら襟足を切るということも一度や二度ではありません。サマージャンボ、年末ジャンボ、ぐらいの頻度でジャンボ笹村になっていました。

こだわりは無いんです。かといって髪型で笑いを取りたいわけでもない。
でもじゃあ、どうやってオーダーすればいいのか。
うーん。ううーん。日夜、悩んでいたところ、とうとう昨年から後頭部のだいぶ後ろの方に円形脱毛症ができまして。正円のミステリーサークル。


いや、えらいことだと思いました。いつのまに。なぜ。

ところがどっこい、これが良かったのです。

美容師さんに明確なオーダーが出せるようになりました。

「今日はどうされますか?」

「ここ(後頭部をかき分けて)にハゲがあるんですよ」

「えっ! あっ…!」

「これをうまいことアレしてもらって、あとは任せます」

「はい…(ゴクリ)」

張りつめた空気の中、後頭部のミステリーサークルと向き合う美容師さん。謎の超常現象に挑む美容師さんのまなざしは、まるでX-ファイルのスカリー捜査官のように真剣そのものです。一方で私は心の中でX-ファイルのBGM「テテテテンテテン… チャーチャーチャチャー♪」を流しながらモルダー捜査官のような何か知っているような知らないような思わせぶりな顔をして座っていれば良いのです。
するとどうでしょう。美容師さんとの対話で初めて主導権をとったような感じになり、とても良い。上機嫌になった私が、X-ファイル主題歌のB'z「LOVE PHANTOM」を絶唱し始めるのも時間の問題です。

かくして悩みから解放されたためか、最近ミステリーサークルは閉じ始めております。ありがとうモルダー、スカリー。ありがとう松本さん、稲葉さん。


ご登録の皆様におかれまして、勢いで転職したもののあまりにもアレなことがあり、速攻退職したという経験がある方、ままいらっしゃると思います。思い出すのもイヤ、無かったことにしたい職歴のミステリーサークル。でも、その職場の「どこがあまりにもアレなのか」を教えて頂けると、私たちも次の一手が打ちやすいのです。言いづらいことでも、ピンチをチャンスに変える気持ちで、是非教えて頂ければ幸いです。

それでは、良い年末を。

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