【5月病は葉で払うべし】

「葉っぱだけでもお願いできないですか?」

むせっかえるような熱気に包まれた薄暗いその部屋で、ほとんど裸の私はその青年に懇願しました。青年、ニヤリと笑って答えます。

「葉っぱだけなんて言わないで、全部味わってくださいよ!! …僕の体ももう限界ですけどね… この腕が動く限り…!」

「ありがとうございます! お願いします!!」

はい。そういうわけで怪しい出だしにして申し訳ありません。名古屋の笹村です。まったく健全な話ですのでご安心ください。

これはサウナの、「ヴィヒタロウリュ」というサービスの話です。
ロウリュというのはいわゆる「熱波」。アロマを含んだ水を熱いところ撒いて、湿度が高くなって体感温度がグッっと上がったところで、屈強なお兄さん達がバスタオルを両手でブン回して風を起こす一連のサービスのこと。「風が吹かないこんな場所でも ぼくたちが走るなら感じることができる」と、これは私が若い頃に流行った19(ジューク)さんの歌ですが、ことサウナにおいてはバスタオルをブン回すことによって風を発生させます。走らない。腕力です。そして汗がブワッと出る。それがロウリュ。19の話、要らなかったですね。
ロウリュについては詳しくは「ウェルビー 博多華丸」で検索して動画を探してみてください。見た方が早いです。

じゃあ「ヴィヒタ」はなんなのかと言うと、これはさらにロウリュにプラスされて行われるサービスなんですが、ざっくり言うと「白樺(しらかば)の葉っぱで背中をめちゃめちゃ叩く」という行為です。理屈は私も良くわかっていませんが「葉っぱによりマイナスイオンがなんか良い感じになる」という効果と加えて「本場フィンランドでは悪霊を祓うと言われている」そうです。
悪霊です。
急に悪霊とか言われて。怪しいと思いましたでしょうか。
私は悪霊と聞くと「ドラゴンクエスト2 -悪霊の神々-」のことしか思い出せないのですが、これ以上脱線するわけにもいかないのでドラクエの話はやめます。
「葉っぱで叩いて悪霊を祓う」という謎行動に対して、節分の「豆を撒いて魔を滅する」につながるようなロマン、もっと率直に言うと「バカっぽくて最高!!」という印象を持っており、好んでこのヴィヒタに参戦しています。「今日は葉っぱキメてくる」と誤解を招く表現を奥さんに伝えて、良く行きます。

それでやっと冒頭シーンに戻るのですが、20時スタートのヴィヒタロウリュに対して、私は20時03分に到着したところ、もうロウリュ⇒ヴィヒタとちょうど終わったところで、お兄さんが撤収しかかったのですが、あきらめきれなくて「ハッパ…」と懇願したところ、ロウリュも含めて一から全部やってくれました。ありがとうお兄さん。「腕が動く限り」とか、ジャンプの主人公みたいなこと言ってくれて、こちらも気合が入りました。
ただスウィングするバスタオルがすべて顔面にヒットし、ヴィヒタの葉っぱでの背中への打撃もいつもより3倍痛かったんですが、もしかして遅く来たことについて怒ってましたでしょうか。なら、すみませんでした。

そういうわけでご登録の皆様に置かれましては、今回は特に教訓めいたことはないのですが「遅刻は良くない」というところだけ覚えて帰ってもらって、5月も気持ちよくお仕事をしていただければ幸いです。

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