【ベーシックインカム】

皆様こんにちは。福岡支社の利元です。
日中は少し体を動かすと汗ばむほどの季節となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、先月のニュースですが公的年金の積立金を運用する『年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)』の2015年度損失が4兆7,000億円の上ると民進党が党独自の試算を公表しました。
GPIFの運用実績の公表は夏の参院選後になりますが、大きな損失発表があるのは堅いのでしょう。公的年金は我々の老後を支える大事な収入ですが、
今の年金は賦課方式ですので人口減の始まっている日本では、若い世代の不安は大きいです。それに加え運用成績のマイナス発表は不安をあおりますね。

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世界をみると年金とは違うベーシックインカムを導入しようと動いている国がありますが、皆様ご存知でしょうか?
日本からは遠く離れている『北欧』の1国フィンランドです。
※ベーシックインカムとは、最低限所得保障の一種で、政府がすべての国民に対して最低限の生活を送るのに必要とされている額の現金を無条件で定期的に支給するという構想です。
その内容は全国民に月額800ユーロ(円で約11万円)の支給するもので、導入されれば世界初の取組みとなります。

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人口550万人のフィンランドで本格的なベーシックインカムを導入するには国家予算の半分に匹敵する500億ユーロ(約7兆円)もの財源が必要で、年金を含む他の社会保障はすべて廃止されるのですから、今後慎重に予備調査が進むのでしょう。
国民全員に無条件で生活最低保障を給付するベーシックインカムはバラマキの典型と思われていますが、実は自由主義の経済学者ミルトン・フリードマンが提唱した「負の所得税」を拡張したリバタリアン的な構想です。
そのメリットは、

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・生活保護のような厳しい給付基準がなく、援助を必要としているひとが排除されない(平等)
・働いても受給額が減らないから貧困層の労働意欲を阻害しない(市場の活用)
・年金制度や生活保護などを一元化して行政のムダを削減できる(小さな政府)
・最低賃金や解雇規制のような非効率な労働者保護を廃止できる(規制緩和)
こうして並べるといいことばかりですが、当然デメリットもあります。

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それはこの制度を利用し労働をしない層への対応、
申告不正により、より大きな収入を得ようとする者への対応。所得申請監視(イメージは日本のマイナンバーを強化したものですね)、
EU加盟国からフィンランド移住者の増加、偽装結婚など闇ビジネスに発展する対策などが考えられます。

一長一短が当然ありますが、
日本国の年金制度も行き詰まりを見せておりますので、
こういった新しい取組みはその動向が気になりますね。
引き続き注視したいところです。

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