【地上の星 地下の滝】

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どうもこんにちわ、笹村です。本来であれば休みの日は全力でゴロゴロして本を読んでいたい、1日23時間は床と平行な姿勢で過ごしていたい私ですが、のっぴきならない政治的な事情があり、登山をしてきました。ええ、分かってます。山も似合わないですけど何か問題でも。

 富山県の黒部ダムで有名な立山連峰あたりの、雄山という3000メートルちょいぐらいのやつなんですけど。結構、なんていうんですか、断崖絶壁?岩しかないみたいなところをスパイダーマンよろしく両手両足を使って這い上りながら「これヤバいんじゃないのか」「これガチのやつじゃないか」と思いながら無事登頂しました。尚、シャツ、ジーンズ、ショルダーバッグという軽い飲み会に来た大学生みたいな格好で行ってしまい、すれ違うそれっぽい格好をした皆様から好奇の目(あるいは憐みの目)を向けられたことを報告しておきます。ちなみに、下りははしゃぎながら駆け下りたら転んでそこいらじゅうすり剥きました(知らないおじさんに、山をナメるな的なトーンで怒られました)。

 登山自体の感想はそのぐらいなのですが、寡聞にして富山県のことも黒部のこともあまり知らないので、道中景色を全く見ないで『高熱隧道』という小説を読んで予習していたのですが、これがなかなかに強烈でした。黒部ダムを建設するがための隧道(ずいどう、トンネルのこと)を掘る男たちの話です。あまりネタバレするのも本意ではないですがざっくり言いまして、トンネルを掘ろうと思ったら温泉地帯にぶつかってしまい、それがもう120度とかの高熱で、掘ってたら熱湯が飛び出して2名死亡、高熱でダイナマイトが暴発して28名死亡、冬場は爆発を伴う「泡(ホウ)雪崩」がおきて75名死亡、その責任を感じて技師発狂して行方不明、みたいな調子でなんだかんだ300名ぐらい死ぬんです。

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そんな本を読みながらだったもんで、ロープウェーに乗るときなんかも「このロープウェー作るのにも…たくさんの犠牲が…(ゴクリ)」と、ただただぼんやりとした罪悪感だけがあって、まったく景色を楽しめませんでした。転んだところも痛いし。
でも、いつも当たり前のように享受していますが、交通機関一つとってもすべて先人の血と汗にまみれた努力があってなんだなあ、ということは実感いたしました。転んでちょっと血も出たことだし。

 もしかしたら、私たち名古屋支社が入っております「第三堀内ビル」にも、かような血と汗にまみれた歴史があるのかもしれませんし、無いのかもしれません。無いと信じたいです。
黒部ダムほどではないですけど、第三堀内ビルの地下1階にはなぜか滝が流れていて、いつでも放流が見られますので、ご来社の際は是非ご覧いただければ幸いです。どんな気軽な格好でも大丈夫ですし、舗装されていますので転ぶこともありません。
転ずるのは、職だけで十分ですよね。

 おあとがよろしいようで。

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